飛行場放浪記

飛行場が大好きなおっさんがなにか書いてます

無許可の曲技飛行で小牧基地周辺住民が空自相手に告訴。そもそも曲技飛行ってなんだろう

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 空自小牧基地航空祭「KOMAKI OPEN BASE」が2018年3月3日に行われると、航空自衛隊ホームページでも先日発表されました。それより以前から、基地ホームページ上には開催決定と書かれていましたので大きなニュースという訳でもなかったのですが、話題となったのはブルーインパルスの展示飛行があるかないか。

 以前から、小牧基地周辺の市民団体はブルーインパルスの飛行に強い反対をしていたんだそうで、ウィキペディアによれば2015年のオープンベースで44年ぶりにブルーインパルスが展示飛行を行ったとのこと。小牧基地ホームページに掲載された開催決定を知らせるバナーにはブルーインパルスの写真が使われており、また基地司令の新年の挨拶の中でも

今年の3月3日には、毎年恒例の小牧基地航空祭、オープンベースを開催予定です。今年で4年連続となるブルーインパルスによる華麗な飛行展示も計画中ですし(以下省略)

 強い反対がある中でもブルーインパルスを飛ばそうという意気込みが述べられておりました。
 
 そんな中、1月26日にちょっとビックリなニュースが配信されました。ブルーインパルスが訴えらるという見出しで

空自アクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が必要な許可を取らずに曲技飛行をしたとして、地元の住民約380人が26日、航空法違反の疑いで、当時の基地司令やパイロットらへの告発状を名古屋地検に提出した。(産経新聞より引用)

 当初から小牧基地側は「曲技飛行ではない」としていますし、航空マニアの間では編隊連係機動飛行は曲技飛行ではないし、反対している自治体に配慮した飛び方を行っているというのは周知の事実でした。

 好きなものを反対されるとつい感情的に反応してしまいそうになるところですが、ちょっと落ち着いてこのニュースの疑問点を調べてみました。インターネット上にあるものをサクッと検索した程度ではあるのですが。

 まず、曲技飛行とはなんぞや、という点ですが、航空法施行規則にはこうあります。

(曲技飛行)
第百九十七条の三
法第九十一条第一項の国土交通省令で定める曲技飛行は、宙返り、横転、反転、背面、きりもみ、ヒップストールその他航空機の姿勢の急激な変化、航空機の異常な姿勢又は航空機の速度の異常な変化を伴う一連の飛行とする。

 で、それを国交相の許可が必要と規定しているのが航空法第91条

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 住民が、基地周辺が人口密集地にあたるのに許可を得てなかったとしているのは、この条文を根拠にしているのでしょう。確かに基地周辺には多くの住宅などが建ち並んでますし、そもそも飛行場上空は航空交通管制圏となっているので曲技飛行には国交相の許可が必要です。

 空自では曲技飛行をどのように規定しているのか、検索していたら「航空機の運航に関する達」という文書がでてきました。この中で曲技飛行について


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 と、航空法施行規則と同様の定義を行っています。先ほどの記事では「90度以上機体を傾けさせたと訴えた」とありましたが、航空法もこの通達も数字を出して曲技飛行は定義してはいません。90度以上傾いた程度では、ここに書かれているような航空機の姿勢には該当しないような気もしますが、何をもって曲技飛行を行ったとしたのか、このあたりは詳細な告発内容が分からないのでなんともいえない部分です。


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 おおもとの文書でページをまたいでいたものをそのままキャプチャしたのでやや見づらいですが、ブルーインパルスが所属する第11飛行隊が展示飛行で曲技飛行を行う場合は、航空幕僚長か展示飛行等の実施計画者が地方航空局(東京と大阪のどちらか)に許可の申請を行い、申請書と許可証の写しを航空幕僚監部運用支援課長に送付する、とあります。

 編隊連係機動飛行の取り扱いについては書かれていないので分からないのですが、曲技飛行に該当しないのであれば申請を出さないのは自然なことであると思われます。それなのに該当する飛行を行ったというのが、今回告訴状を提出した住民の言い分ということなのでしょうか。

 産経新聞の記事では、まだ告訴状は名古屋地検に受理されていないということですが、受理された場合、小牧基地での展示飛行への影響があるのか、小牧以外のところにも影響がおよぶのか、今後がちょっと気になるニュースでした。