この離陸方法の廃止を強く求めているのは、大田区議会。特に一部の議員が積極的に発言していることが議事録検索からも伺えます。
羽田空港は当初より滑走路を沖合に移す「沖合展開」が進められていますが、これも騒音対策の一環。
1986年4月(3月作成)の「ハ・ネ・ダ新しい空へ――羽田空港沖合展開のあらまし――」の中で当時の運輸省(中曽根政権時)は、羽田空港の沖合展開計画の狙いとして、1 騒音問題の解消、海から入り海に出る滑走路運用方式、音の沖合移転。「海から入り海に出るという運用方式を100パーセント採用することにより騒音問題を抜本的に解消することができます。羽田空港の沖合展開は、いわば音の沖合移転ともいえます」と、音の沖合移転が騒音問題の解消となるとつづり、紹介しています。(平成29年 第3回 大田区議会定例会 奈須利江議員発言より)
この中の「海から入り海から出る」がハミングバード2ディパーチャーでは守られていないという点を問題視しているようです。
廃止の時期について、大田区議会の議事録検索で出てくる本記事執筆時点での最新の発言は
平成29年の5月に機能強化に関する要望の中で、左旋回の廃止の時期を明確に示されたいというところで、区長名で、大臣宛てで要望を強くしてきたところでございます。
国交省の反応が芳しくないことをうかがわせる雰囲気。これまでも廃止を求めてきた議員にとっては、のらりくらりとかわされているように感じさせられているのかもしれません。
ちなみに、廃止されることが知られることとなった発端となった大田区報に、まるで明日にでも廃止になるかのような文章が載った経緯については
区側は廃止に向けて要望を行っていくことを表明したに過ぎないのだと述べています。みんな、やや早とちりしてしまったということのようです。
ハミングバードの廃止を求めている発言を多くしている議員の方も、航空マニアが持っているこの離陸方法がなくなるのは残念という意見はご覧になっているようで、議事録にもこれをうかがわせる発言が見られます。そういう意見もあるが騒音が、落下物の危険が、という不安の声と過去の約束に応えて廃止すべきだということのようです。
航空マニアな個人的な視点でいえば、そんなにうるさいものかなとか(騒音の尺度が普通の人と航空マニアとでは若干違うので)思ってしまいますし、この景色が見られなくなるのはさみしいという気持ちもあります。廃止を訴える議員の発言を読んでいると、ちょっと違うんじゃないかなと思う部分も多々あります。ただ、過去の政権が無責任な約束をしていたのであれば、廃止は仕方ないのかなと。
廃止か存続かは、直近では2018年冬ダイヤの開始時に入っているかどうかが節目となるかと。ハミングバードに限らず、羽田空港の今後の動きに注目していきたいところです。